昔を懐かしむように開いたのは日記帳で無くアルバム
夏の暑い日差しに負けない若い自分と
日焼け止めを知らない肌の色
カメラの前で格好つけずに笑うことが簡単だったと
盛り上がるだけ盛り上がって
後は酔い潰れた人の様に 深く 浅く
夢を見て眠りについた毎日におろされたシャッター
フィルムの中に焼きついた時間
あの頃に戻れたなら どんな人生をやり直すだろう
ろくな事無かったけど、やり直したいほどの人生だったか?
幸せの落ちていない 暗い 暗い 独り道だったか?
もしそうだったとして、
やり直したらその壁さえ越えられるだろうか?
あの頃の自分だっていつも 何度も 何度も やり直そうとしたさ
だけど結局何も変われないままで今日まで生きてきたんだろう?
大切なものばかりがポケットから溢れて
顔を覗かせて犇いて蠢いて
大切の意味は頭からすっかり消えてしまった
訳も解らず怒鳴り散らして 怒って 八つ当たって 泣いて
心が悲鳴を上げても 聞こえないフリ 耳を塞いだ
“悪いのは自分じゃない”
言い聞かせるように何度も呟いて
この痛んだ心の傷口は そんな事で誤魔化されたりはしなかった
もっとずっと歪んで どうにもならなくなって
引き返せないトコロ ぎりぎりの淵で
そして思い出すのだ 大切だったものを
ポケットにまだ入ってるかい?
そこに戻らなきゃと足掻いて
誰も解ってくれないと眠れない夜を越えて
今この瞬間降りたシャッター
作った下手な笑顔も まぁまぁ悪くないじゃないか
また一枚このアルバムに写真が増えて
また一つ年を重ねていった
まだ入ってるかい?
ポケットの中に 君の大切なもの 僕の大切なもの
2009.01.11
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